日々のビジネスを円滑に進めるにあたり、より効率や生産性を上げるために新たなツールやシステムを導入する企業が年々増加しています。その中でも、テレワークや在宅勤務の浸透に伴い広まりを見せているのが「ファイル共有」システムの構築、導入です。
今回は、ファイル共有の基本的な考え方、導入におけるメリット・デメリットについて詳しく説明していきます。ファイル共有について興味のある方、言葉自体を知ってはいるが曖昧である…といった方は、これを機に是非しっかりと知識を身に付けて今後のビジネスに役立ててください。
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目次
「ファイル共有」とは
ファイル共有の基本的な考え方は、ある1つのファイルを複数人で共有する事を指しています。もともとファイルとは1つのファイルに対して1人のユーザーが使用するものと考えられてきましたが、ネットワーク技術が進み利用が広まると1つのファイルに対して複数人のユーザーが共同で編集・管理する事によるメリットが広く知られるようになりました。
ファイル共有の方法
ではファイル共有を実際に行う方法として、具体的にどういったものがあるのでしょうか。ファイル共有の方法は、沢山ありますが、主に以下の4つの方法が考えられます。
- ファイルサーバーを構築する
- ファイル共有用のパソコンを設置する
- NAS(Network Attached Storge)を導入する
- クラウドストレージを導入する
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
ファイルサーバーを構築する
ファイル共有の方法として最もよく知られているのが、ファイルサーバーの構築です。社内ネットワーク内にファイル共有専用のサーバーを構築し、ファイル共有のスペースを確保するためにファイル管理ソフトウェアをインストールします。
一般的に知られているWindows Serverには標準機能としてファイルサーバー機能が搭載されていますので、ファイルサーバーの構築は比較的簡単です。
ファイル共有用のパソコンを設置する
サーバーを設置しない方法としては、不要になったパソコンなどをネットワーク上に置き、ファイル共有スペースとして使う方法があります。OSとしてWindows 10を搭載しているパソコンでしたらファイルエクスプローラーを起動し、共有したいファイルを選択し右クリック。
表示されたメニューの中から「プロパティ」を選択し、「ネットワークのファイルとフォルダの共有」欄内にある共有をクリックすると、共有したいユーザー名を入力することができます。この手順によって、パソコンを利用したファイル共有スペースを作ることができます。
NAS(Network Attached Storage)を導入する
NASとは、正式名称を「Network Attached Storage(ネットワーク・アタッチド・ストレージ)」といい、ネットワーク上に設置し利用するストレージ専用機器です。
従来におけるNASは単なるファイル保存用のスペースでしかありませんでしたが、最近はユーザー管理可能なものやアクセス権限範囲を制限できるもの、標準でストレージ機能を備えているものも出ています。
より発展した物になると、重複したファイルを排除、暗号化機能やバックアップ機能を備えたものも開発されています。
クラウドストレージを導入する
ここまで紹介してきた3つの方法が、従来におけるファイル共有方法といわれています。ですが近年ではパソコンで扱う情報量の著しい増加や、働き方改革推進によるニーズ急増によって従来型のファイル共有方法では対応が難しくなってきているケースが生まれています。
そこで多くの企業が広く導入しはじめているのがこの「クラウドストレージ」です。従来型のファイル共有方法は、ファイル共有スペースの構築をいわゆる「ローカルネット」上で行ってきました。しかしこのクラウドストレージはファイル共有スペースの構築を「クラウド(インターネット上)」で行う形をとり、クラウドストレージ専用のサービスを用います。
先述してきたファイルサーバーやNASの場合は社内ネットワーク上に専用機器を設ける必要がありますが、クラウドサービスの場合は異なってきます。必要なものとして挙げられるのは、
- インターネット接続環境
- パソコン
- サービスから発行されるIDとパスワード
- 契約料金の継続的な支払
この4つが利用環境として整いさえすれば、即座に組織全体が利用可能な大規模ファイル共有スペースを構築する事ができます。
ファイル共有のメリット
実際にファイル共有が可能な環境になると、どのようなメリットが生まれるのでしょうか?代表的な3つの例を挙げていきましょう。
特定のファイルを複数のユーザーで管理・編集可能
ファイル共有の大きなメリットとして真っ先に挙げられるのがこの「特定のファイルを複数のユーザーで管理・編集可能」な点です。サーバー上に保存したファイルを共有しておくことで、権限を与えられたユーザーは閲覧や編集を行えるようになります。
在宅勤務やサテライトオフィスなど、チームのメンバーが離れた場所にいても共同で作業を進められるようになります。
ファイルの大きさを問わず送信できる
メール添付によって相手にデータを送りたい時、しばしば起こってしまうのがメールサーバー設定によってデータが一定以上の容量を超えると送信できなくなってしまう現象です。そういった場合にサーバー上にファイルをアップロードし、その後ファイルに対するリンクを相手に送ることで容量を気にすることなく特定のファイルを共有する事が出来ます。
スマートフォンのデータをバックアップできる
年々高性能化が進み、今やパソコン並みの性能を持つスマートフォンには重要なデータが大量に保存されています。また、携帯端末故に紛失や破損のリスクが生じてしまいます。
そうした事態に備えるためにも、ファイル共有を利用してバックアップフォルダを作成しておくことで大切なデータを保護しておくことができます。
ファイル共有のデメリット
こうした多くのメリットを生むことができるファイル共有ですが、当然ながらデメリットが生じるのも確かです。ファイル共有を導入する前に、事前に理解しておくことが大切です。
カスタマイズ性能に限界がある
クラウドストレージではなく、ネットワーク内に構築するタイプの場合、拡張性が低い点がデメリットとして挙げられます。構造上、ファイルサーバーのように用途に応じてストレージを増やすことが難しくなっています。
セキュリティ対策が必要
ファイル共有を行うことで、複数の人が特定のデータを編集・閲覧する形になるのと同時にセキュリティ対策の強化も必要になります。社内でセキュリティレベルの高い情報や文書を扱う際には、閲覧制限や編集制限を設定することが大切です。ファイルごと、フォルダ全体にも制限をかけることも可能です。
まとめ
1つのファイルを複数人で管理可能なファイル共有をビジネスに取り入れることで多くのメリットが得られ、より作業効率性を向上させることができます。今回説明した基本的な考え方、メリットとデメリットを十分に理解した上で、是非導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。