ビジネス向けのチャットツールやSNSなど、企業は何らかの社内情報共有ツールを導入し、コミュニケーションの円滑化を図っています。キーマンズネットが2019年6・7月に行った調査では、全体の62.7%の企業がそれらツールを導入していたそうです(全回当者303人中)。
しかし、「社内Wiki」を活用している企業は、他の社内情報共有ツールを活用している企業に比べて圧倒的に少ないのではないかと感じています。おそらく社内Wikiのメリットが広く認識されておらず、「そもそも社内Wikiってなに?」という方もまだ多いのでしょう。
そこで今回は、社内Wikiの基本知識とそのメリットを紹介します。「社内Wikiを導入すると、どんな良いことがあるのだろう?」といった視点で見ていただけたら幸いです。
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社内wikiとは?いまさら聞けない「wiki(ウィキ)」について
目次
社内Wikiってなに?
社内Wikiと聞いて「Wikipedia(ウィキペディア)」を思い浮かべる人が多いかもしれませんね。インターネット上の誰もが自由に編集し、ウェブ最大の百科事典に成長したのがWikipediaです。社内Wikiは「その社内版」と考えて良いでしょう。
企業経営に欠かせない資源にはカネ・ヒト・モノの3大資源の他に、「情報」という極めて重要な資源があります。ただし、情報といっても色々あります。ビジネスを最適化するための膨大なデータ、営業やマーケティングを効率化するための顧客情報、最近ではこうした情報が注目されることが多くなっています。
ウィキの基本概念
ウィキは、オープンな編集を可能にするための特徴を持っています。一般的なウェブサイトとは異なり、ウィキでは誰でも編集できるため、ユーザー全員が情報を追加・編集・削除することができます。また、ウィキのページはハイパーリンクで結ばれており、関連情報へのアクセスが容易です。このような特性によって、社内wikiは迅速な情報共有とコラボレーションを実現するのに効果的なツールとなっています。
そしてもう1つ、欠かせない情報が「ナレッジ(Knowledge)」。組織全体のビジネスをより良いものにするための「知識体系」です。
ナレッジには社内マニュアルや業務ノウハウに加えて、新入社員がベテラン社員に行う質問・相談なども含まれます。つまり、組織内で管理・やり取りされる情報の全てがナレッジであり、それらを地道に積み上げることでかつてないほど強力な情報を手に入れることができます。
社内Wikiを活用するメリット
①生産性が上がる
社内Wikiにてナレッジが蓄積されている企業では、例えば新入社員からベテラン社員への質問・相談回数が少なくなります。業務に対して疑問が生じた時、社内Wikiで参照できる情報があるからです。互いに手間が少なくなれば生産性は確実に少なくなりますし、質問・相談をするとしても一歩踏み込んだ内容で話ができるので、業務への理解度が深まります。
②業務上ミスが減る
業務に対して気軽に相談できる先輩・上司がいないという状況下では、物事を独断で進める傾向にありミスが起きやすくなります。特に人材が足りていない現場で皆が忙しくしている中、相談はしづらいもの。そんな時も社内Wikiにナレッジが蓄積されていれば、それを参照しながら業務を進められるのでミスが減ります。
③スキルを共有できる
営業やマーケティングなど全体のスキルアップが売上に大きく響くような部門では、スキルの共有が欠かせません。これこそ、社内Wikiで共有すべきナレッジです。その他、タスク管理のコツなど組織全体での生産性向上を図れるスキルなどもどんどん共有すべきです。
④リスクが小さくなる
組織のあらゆる情報を社内Wikiで共有できれば、様々なリスクを回避できます。特にセキュリティに関しては情報共有が適切にされているかどうかがリスク回避のポイントになります。組織内でサイバー攻撃の兆しが見つかれば、すぐさまその情報を共有するだけでも立派なセキュリティ対策です。
⑤教育の質が変わる
社内Wikiに教育系ナレッジをたくさん蓄積しておければ、新入社員がそれらの情報を閲覧するだけでも業務知識が身に付きます。社員教育は「どれだけ正確な情報共有ができるか?」で質が大きく左右されるので、社内Wikiに教育系ナレッジを蓄積すれば、質の高い教育が実施できると共に教育者の負担も軽減されます。
社内wikiの作り方
社内wikiを効果的に構築するためには、以下のステップを踏む必要があります。まずはシステム選定と導入準備から始めましょう。
システム選定と導入準備
社内wikiを選ぶ際には、以下の要素を考慮することが重要です。
- 機能とカスタマイズ性: システムが提供する機能がビジネスニーズに合致しているか確認しましょう。また、必要なカスタマイズが可能かどうかも検討する必要があります。
- セキュリティとアクセス制御: 企業の機密情報を保護するために、システムのセキュリティ機能とアクセス制御の仕組みが適切であることを確認しましょう。
- ユーザビリティと使いやすさ: 従業員が簡単に利用できる使いやすいインターフェースを持つシステムを選びましょう。ユーザビリティは社内wikiの採用率にも影響します。
システムを選定したら、導入準備を進めます。以下の手順を実施しましょう。
- 目的とゴールの設定: 社内wikiの導入目的とゴールを明確に定義しましょう。具体的な目標を設定することで、実装時の方向性を明確にすることができます。
- 導入計画の策定: 社内wikiの導入計画を策定しましょう。計画には、導入スケジュール、役割分担、トレーニングプログラムなどが含まれます。
- ユーザー教育とトレーニング: 社内wikiの利用方法や利点について、従業員に対して十分な教育とトレーニングを行いましょう。利用方法や基本操作の習得は、導入成功の鍵となります。
ページの構成と設計
社内wikiのページは、ユーザーが情報を迅速に見つけやすくするために適切に構成されている必要があります。以下のポイントに留意してページの設計を行いましょう。
- 階層構造とナビゲーション: ページを階層的な構造で整理し、明確なナビゲーションメニューを作成します。ユーザーが必要な情報に簡単にアクセスできるようにするために、分類やカテゴリー化を考慮しましょう。
- 一貫性と規範: ページのスタイルやフォーマットに一貫性を持たせることで、ユーザーが情報を迅速に理解しやすくなります。また、編集ガイドラインやスタイルガイドを作成し、統一された規範を設けることも重要です。
- 検索性の向上: ページ内の情報が簡単に検索できるように、適切なキーワードやタグを使用しましょう。また、インデックスページや検索機能を活用して、ユーザーが目的の情報を素早く見つけられるようにしましょう。
ページの作成と編集方法
社内wikiでは、誰でもページの作成や編集ができるため、従業員全員が積極的に参加することが重要です。以下の手順を参考に、ページの作成と編集方法を説明しましょう。
- 新しいページの作成: ページの作成は簡単です。メニューやボタンから「新しいページを作成」を選択し、タイトルとコンテンツを入力します。必要な情報を追加し、保存します。
- 既存ページの編集: 既存のページを編集する場合は、ページの編集モードに入ります。編集したい箇所をクリックして編集し、変更内容を保存します。他のユーザーとの競合を防ぐため、編集前に編集ロックを確認しましょう。
きいちんと手順を踏むことで、社内wikiのページは効果的に作成され、編集され、整理されます。情報のアクセス性と検索性を向上させるために、積極的な参加と継続的な改善が重要です。
社内Wikiの幅広い活用例
社内wikiはさまざまな目的で活用することができます。以下では、社内wikiの具体的な活用例を紹介します。
ナレッジ共有と情報の集約
社内の知識や情報を集約し、一元化された場所で管理することができます。社内の業務手順やプロセス、ベストプラクティスなどをドキュメント化し、社員が簡単にアクセスできるようにします。また、新入社員の教育や研修資料としても活用することができます。
プロジェクト管理と共同作業
プロジェクトの進捗管理やタスク管理にも活用できます。プロジェクトの目標、スケジュール、担当者などの情報をwikiページにまとめ、関係者がリアルタイムで情報を共有できる環境を提供します。さらに、コメント機能やバージョン管理機能を活用することで、チームメンバーとのコラボレーションを円滑に行うことができます。
FAQとトラブルシューティング
社内wikiはFAQ(よくある質問)やトラブルシューティングの情報を提供するためにも活用されます。頻繁に発生する問題やトラブルの解決策をwikiページにまとめ、社員が自己解決できるようにします。これにより、サポート部門の負荷を軽減し、効率的な問題解決が可能となります。
アイデア共有とイノベーション促進
社員が自由にアイデアを投稿し、他のメンバーと意見交換することができる環境を提供します。新たなアイデアや改善提案が生まれやすくなり、組織全体の成長とイノベーションにつながります。
社内文化やイベントの共有
社内wikiは社内文化やイベントの共有にも活用されます。会社のビジョンやミッション、コアバリューなどの情報をwikiページにまとめ、社員に共有します。さらに、社内イベントのスケジュールや参加者の情報をwiki上で共有し、社内コミュニケーションや交流を促進します。
これらの活用例を参考にしながら、社内wikiを自分たちの組織に最適化して活用しましょう。柔軟性と拡張性のある社内wikiは、組織の成長と効率化に大きく貢献することができます。
社内Wikiにおすすめのツール「Huddler」
社内Wikiにもおすすめなのが「Huddler(ハドラー)」です。リモートワークなど離れて業務を進める上で課題になる情報共有のあらゆる課題を解決することができるオールインワンツールです。
現在無料のβ版で提供しており、容量制限もなく初めてITツールを使うという方でも気軽に利用することができます。
Huddler(ハドラー)とは
会議を起点とした情報マネジメントツール「Huddler(ハドラー)」
https://service.huddler.app/
会議を起点とした情報マネジメントツール「Huddler」は 業務における情報を適切に管理し、チームとビジネスを前進させる⽣産性向上のためのサービスです。
Huddlerには「会議」「タスク」「wiki」「ファイル」の4つの機能が備わっており、掛け合わせることで業務効率化を実現します。
- リモートワークと出社するメンバーが混在しており、チーム内の業務がいまいち分からない
- 業務効率化ツールはIT企業向けのプロジェクト管理ツールばかり
- 打ち合わせで伝えたタスクに認識のズレがあり、思い通りに進まない
- カスタマイズをしないと便利に使えないツールが多い
このような情報管理における様々な課題を簡単に解決することができます。
Huddlerの4つの機能
会議
Huddlerの会議機能はルームごとに会議の内容が格納され、情報の整理が簡単にできる機能です。Huddlerでは、内容を記載すると自動で保存される仕様になっているため、他のメンバーへのリアルタイム共有が可能となります。またテキストを直感的に入力するだけでなく、それぞれの会議に紐づけたい画像やPDFファイルなどの資料、会議で出た「タスク」など、あらゆる情報を記載・添付することが可能です。
タスク
Huddlerは会議に紐づけてタスクの管理をすることもできます。会議ごとに紐づけられることによって、前回の打ち合わせで誰がいつまでにどんなタスクを与えられたのか、そのタスクの進捗状況はどうなのかを逐一確認することができ「言った言わない問題」や「認識の齟齬」によるトラブルを回避することができます。
併せてタスクを一覧で看板形式で管理することができます。「トレイ」と「タスク」の2つの要素で構成されており、縦軸のトレイも目的や用途に合わせて自由に作成することができます。例えば、ワークフローを軸に管理する場合はステータスでトレイを分け、担当を軸に管理する場合は 担当者名でトレイを分けます。 チームのニーズに合わせてトレイは⾃由に作成できます。
タスクはドラッグ&ドロップで簡単に移動することができるので、進捗状況に合わせてトレイを移動させて常に最新の情報を共有することができます。 タスク名、担当 、期限をそれぞれ設定することが でき、タスクごとにコメントも残せるので、 進捗確認にも便利です。
wiki
Huddlerのwiki機能はルームごとに共有したいあらゆる情報をストックできる機能です。社内マニュアルや日報など様々な情報を直接蓄積することができます。「マニュアル類」「業界ニュース」「リンク集」などそのルームの目的や用途に合わせてカテゴリ分けをし、社内wikipediaとして運用することができます。そのほかに、他のユーザーに編集権限を付与することができたり、投稿毎にコメントの可否を設定できたり共有する内容によってカスタマイズすることが可能です。マークダウン記法にも対応しています。
ファイル
Huddlerのファイル機能はシンプルで誰でも使いやすい仕様になっています。ルームごとにデータを蓄積することができ、フォルダの名前は「クライアント名」や「メンバーごと」、「レポート用」など、チームの目的や用途ごとに合わせて自由に決めることができます。会議に添付したファイルも自動でファイルに集約され、一元管理することが可能です。
Huddlerは現在無料で全ての機能をご利用いただけます。アカウント登録はこちらから。
社内wikiに便利なツール
ここでは、国内でも人気の高い3つの社内wikiツールについてご紹介します。
1.Scrapbox
Scrapboxは、情報整理や分類全てを自動で行ってくれる社内wikiツールです。重要な単語に「」をつけるだけで、自動で関連ノートを紐付けしてくれるので、新しいフォルダ作成などの手間は必要ありません。個人としての利用は無料ですが、法人の場合は、1ユーザーあたり月額1000円で容量無制限で利用することができます。
2.esa
esaはITエンジニア向けのwikiツールです。マークダウンやバージョン管理、WIPなどエンジニアに馴染みのある機能が豊富に盛り込まれています。「情報を育てる」をコンセプトにしたwikiで記事を公開したあとも更新を重ね、記事がまとまってきたらグループ分けをして管理する、といったことを推奨しています。
料金プランは1ユーザー月額500円となっています。
3.Kibela
Kibelaは、個人用と共有用、2つの情報管理場所を持つことができる社内wikiツールです。個人的な情報はBlogに。共有すべきナレッジやノウハウはWikiにといった具合で個人的に覚えておきたい内容をメモがわりにして利用することができます。料金プランは3つあり、それぞれに無料プラン、スタンダードプラン月額550円、エンタープライズプラン月額1650円(いずれも1ユーザーあたり)があります。
社内Wikiのポテンシャルを見直そう
いかがですか?簡単に社内Wikiの概要とメリットをご紹介し、その魅力を感じていただけたのであれば嬉しい限りです。円滑な情報共有こそ大切な時代なので、チャットツールやSNSなどに加えて社内Wikiも活用すれば、情報の棲み分けなども行えてより多くのナレッジを蓄積できるのではないでしょうか。