コロナ禍が広がる以前の2019年、東京都の在宅勤務実態は、従業員数30人以上の企業で導入率25.1%であり、4社に1社が導入していました。それが今では58.7%に上り、およそ1年間で2倍以上に拡大しています。
在宅勤務が広がるにつれ、「パフォーマンスの低下」に注目が集まるようになりました。以前は生産性向上の効果が高いと言われていた在宅勤務も、今では様々な課題が顕在化し、如何にしてその課題を乗り越えるかが肝要です。今回は、在宅勤務でパフォーマンスを下げる10個の問題点をご紹介します。
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目次
ビジネス上の問題点
①コミュニケーション不足
オフィスなら顔を合わせて気軽にコミュニケーションが取れますが、在宅勤務ではそうはいきません。コミュニケーションが必然的に不足し、業務遂行までに余計な時間がかかってしまいます。
②進捗報告が遅れる
コミュニケーションが不足すれば、当然ながら進捗報告が遅れます。上司や部長は従業員の働きぶりを管理するのが難しくなり、「誰が、何をしているのか?」を把握できません。従業員ごとの負荷が可視化できなければ、一人の従業員に負荷が集中する可能性があります。
③マネジメントがしづらい
オフィスでの仕事と比べると、マネジメントの難しさは倍増します。従業員を直接目で見れませんし、個々に業務アドバイスを下すのも難しくなります。1対1でのチャットまたはウェブ会議が多いとハラスメントになる場合もあるので、注意が必要です。
④労働環境の整備が難しい
従業員の自宅にまで企業の影響を届かせるのは難しいので、必然的に労働環境の整備が難しくなり、従業員ごとに異なる環境で仕事をすることになります。従業員ごとにパフォーマンスが大きく異なるので、評価制度を見直す必要があります。
⑤情報錯誤が起きやすい
テキストベースでのやりとりは気軽な反面、意思疎通を図るのが難しい時もあります。情報が錯誤するとプロジェクトが円滑に進まなくなる可能性が考えられるので、ウェブ会議を活用してできる限り対面でのコミュニケーションを心掛けましょう。
ワーカー個人的な問題点
⑥通信環境が安定していない
在宅勤務では、従業員ごとの自宅に用意されているインターネット回線を使用するため、居住地や回線によって通信が安定しないケースがあります。不安定な通信はコミュニケーションを阻害する原因にもなるので、従業員ごとの通信環境を確認する必要があるでしょう。
⑦仕事以外の誘惑が多い
自宅で仕事をしていると、オフィスでは有り得ないような誘惑が待っています。ベッドでの昼寝、スマートフォンゲーム、YouTube視聴などが簡単にできてしまいます。誰もが意志を強く持って仕事に取り組めれば良いのですが、そうではない人の方が多いでしょう。結果として仕事のパフォーマンスが下がり、ビジネスに影響が出てしまいます。
⑧プライベートとの切り分けができない
仕事とプライベートの切り分けが難しいと悩むワーカーも多く、仕事中でも家族が目の前にいることで集中できないとの声が上がっています。日中も妻をサポートできたり、子供と過ごせたりするのは在宅勤務の大きなメリットですが、人によってはそれが難点に感じる場合もあるのです。
⑨メンタルが不安定になりがち
最近では「テレワーク鬱」を耳にすることが多くなりました。在宅勤務が長く続いたことで他者とのコミュニケーションが極端に少なくなり、鬱状態に陥る現象のことです。また、在宅勤務になったことで以前よりも実質的な勤務時間が増え、働きすぎによりテレワーク鬱になるケースもあります。
⑩晩酌が増える
テレワーク鬱予備軍とも呼べるのが、在宅勤務になり晩酌が増えた人です。ストレスの増加が原因であることが多く、酒気帯び状態によってストレスを緩和しようとしています。しかし、晩酌は睡眠の質を低下させ、1日をパワフルに過ごすためのエネルギーが不足するため、結果として新しいストレスを生んでしまいます。「晩酌がないと寝付けない」という人は、入眠時は気持ちよく寝られても睡眠中に覚醒状態になり、結果として質の良い睡眠を取れません。
パフォーマンス低下の原因を探り、対策を練る
在宅勤務によりパフォーマンスが低下した企業では、まずその原因を探るところから始めましょう。本記事では10個の問題点を提起しましたが、必ずしもこれに該当するわけではありません。企業ごとに問題点は異なり、自社では何が原因なのかを探ることが大切です。
原因が分かればしっかりと対策を練り、継続的に実施していくのがポイントです。1度の対策で全てを解決するのは難しいので、素早いPDCAサイクルを進めながら従業員を全力でサポートしてください。
<参考資料>
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/hatarakikata/telework/01_telework_tyousa.pdf