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救急医療の最前線での情報共有と若手医師の教育を効率化─「生きた教科書」でチーム内の情報共有を進化

情報マネジメントツール『Huddler(ハドラー)』は、「会議」を起点に、タスクやナレッジ、ファイルなどあらゆる情報管理を1プラットフォームで完結させることでチームの業務効率化を促進することができるツールです。今回はHuddlerをご活用いただいているユーザー様へインタビューを実施させていただきました。

 

この度インタビューを実施させていただいたのは、1980年に全国に類を見ない官民共同の救命救急センターとして設立された岩手県高度救急救命センター様です。岩手県唯一の高度救命センターであり、全国的にも稀な自己完結型救命救急センターということで、迅速かつ専門的な救急救命処置を行うことに特化しています。

同センターは、地域の他の医療機関や救急サービスとも緊密な連携をとりながら、地域住民の安心と健康のために、常に最善の医療を追求し続けています。

 

岩手県の救急医療のリーダー的存在として、良質の医療を提供することはもちろんのこと、研修医や救急救命士などへのレベルの高い教育が使命とされるなかで、Huddlerをどのように活用しているのか、詳しくお話を伺いました。

 

岩手県高度救急救命センター丹田様

インタビューさせていただいた方:
岩手県高度救急救命センター 救急呼吸器内科 丹田様

治療方法やナレッジをチーム内で共有することで「生きた教科書」を作る。

ー岩手県高度救急救命センターの事業概要と、自己紹介をお願いいたします。

 

丹田様:岩手県高度救急救命センターは、救急外来を含めて特殊な多発の外傷や中毒などを専門的に診る施設で、岩手県では高度救命救急センターがついてる唯一の施設として、また、国内でも数カ所しかない施設の1つです。

 

我々の施設は、救急外来の診察後、そのまま集中治療を含めた重症患者の治療を行う自己完結型救急施設となっており、全国的にも珍しい形態をとっています。そのため、情報のやり取りの密度や必要な情報量が多く、効率化が求められています。

 

救急外来だけではなく、その後の治療では専門的な知識も必要なため、各分野ごとに経験のある医師がチームを形成しています。その中で私は、中毒や内科疾患、そして呼吸器系の重症患者の治療を担当する救急呼吸器内科という医療チームに所属し、現在はそのグループ長を務めています。

 

長岡:それは非常に重大な仕事ですね。そういった背景から、情報共有の効率化や若手教育について課題感を持っていたのですね。

 

丹田様:そうですね、情報のやり取りが大変重要な仕事ということもあり、情報共有の効率化は以前から必要と感じていました。さらに、若手医師の教育も重要な課題となっていました。我々のセンターでは若手医師が定期的に配属され、その都度で学びの場が必要となるのですが、配属された期間ごとに患者数にムラがあるため、教育の一貫性が欠けてしまうという問題がありました。

 

教科書を使った自己学習はもちろん大切ですが、私の経験からしても、患者さんの病態を基にした学びが非常に効率的で、身につくと感じています。私たちが診ている患者の情報を共有し、どのように診断し、どのような理由で治療を選択したかを若手医師と共有できれば、教育の効率化につながると考えています。また、共有することで情報のやり取りでのミスも防げると思いました。

 

長岡:そのような課題解決のために何か具体的な手段を探されていたのですね。それがHuddlerとの出会いにつながったということですか?

 

丹田様:これまでは患者の症状や治療方法についてのノートを個人的に作っていたのですが、それをWeb上で確認できるシステムがあれば、情報共有+勉強学習ができる「生きた教科書」になるのではないかと考えており、導入のきっかけになりました。

 

ー実際に初めてHuddlerを使ってみた時の印象を教えていただけますか?

 

丹田様:私がこれまで使用していたノートの構造と非常に似ていたので、私のイメージとぴったりマッチしているなと感じました。特に「会議」という機能が私たちの仕事に適していました。会議という名称ですが、一つの会議をベースに、私たちは患者の症例を共有し、診療について議論しています。このスタイルが私たちにはぴったりだったんです。

 

長岡:会議という名称ではあっても、こんな使い方ができそうだなというイメージを膨らませていただいたということですね。ありがとうございます。

 

岩手県高度救急救命センター様_wiki

(実際にお見せいただいたHuddler 会議画面)

 

若手だけでなく、チーム全員が平等に参加できる仕組みが重要。

ーHuddlerを選ぶ際に、他のツールと比較されましたか?

 

丹田様:タスク管理やチャット機能に特化したツールなど、いくつかのツールを見ました。ただ、私たちが必要としていたのは一つの症例に対して、深く議論するスタイルを突き詰めたものだったので、その点でHuddlerが最も適していました。あまり自由度が高過ぎても使いこなせなくて結局浸透しないと思いますが、Huddlerは必要な機能を備えつつもシンプルで使いやすいという点が好印象でした。

 

長岡:なるほど、誰でも使いやすいシンプルさも重要だったんですね。ツール選定の際に最も重視したポイントは何でしたか?

 

 丹田様:やはりチーム全員が使いやすいこと、そして平等に参加できることが重要でした。普段パソコンをあまり触らない不慣れな人やベテランの域の人でも使えるような、使いやすいツールが最善だと考えています。そういった意味で、Huddlerはその要件を満たすツールだと感じました。

 

ーHuddlerを実際初めて使ってみて、想定とのギャップはありましたか?

 

丹田様:患者さんごとの治療情報を会議にまとめ、関連情報をファイルに載せるという使い方は想定していたのですが、wikiの活用という発想はありませんでした。自分でノウハウなどの情報を作成し、リンクを貼ることができるwikiは、情報の紐付けという面でもすごく便利です。これは良いギャップでしたね。

 

Huddler_wiki

(Huddler wiki画面イメージ)

 

また、タスク機能も活用しています。私の立場上、当番表を作成するのですが、その作業は飛躍的に楽になりました。今まではSNSなどに上がっている情報をいちいち確認しなければいけなかったのが、タスクとして一箇所にまとめることで時間の効率化が図れました。最近ガントチャート機能も実装され、さらに活用しやすくなりました

 

Huddler_ガントチャートgif

Huddler_ガントチャート

(Huddler ガントチャート画面イメージ)

 

長岡:実は会議以外の機能も予想以上に便利と感じていただいたのですね!

 

丹田様:そうですね、自分のノートの役割だけでなくそれ以上に多面的な使い方ができることに驚いています。

 

長岡:私からご紹介した活用方法以上に、 ご自身でいろいろ使い方を模索して新しい使い方をしていただいてたりするので、私自身も勉強になっています。ありがとうございます!

個人的なメモと公式の電子カルテの間にHuddler。情報のブラッシュアップをすることで質を高める。

ー以前のチーム内の情報共有のフローはどのようにしていましたか?

 

丹田様:勉強した内容や統計学的なデータなどのエビデンスを生かして治療方針を決めるのですが、そういった情報はチームカンファレンスや全体会議でやり取りを行っていました。

 

ただ、連携を十分にとれないと、一人の医者の意見が先行してしまうリスクがあり、可能であれば、複数の医者の意見や治療成績などを共有しながら、質の高い医療を提供することが求められています。ただ実際には忙しさから皆が集まることが難しく、結局は医師の独断で進めざるを得なかったり、経験豊富な上級医に個別に連絡を取るなどの状況が生じていました。そのため、情報を共有し、意見を載せ合う場が必要であると感じていました。

 

長岡:なるほど、情報共有が十分にされることが質の高い医療につながるのですね。普段、情報共有はどの程度の人数で行われているのですか?

 

丹田様:実際の診療チームとしては約6名程度ですが、今後は研修医の先生方も加わる予定です。情報を共有することで、メンバー間での認識のずれを減らすことができます。加えてこれからは、医師だけでなく、他の職種との連携も考えています。なかなか密に連携をとるのが難しく、医師の考えが他の職種の方々と認識がずれてしまっていることもあります。そのため、他の職種の方々も含め、平等かつ幅広く考えや行動を共有できる場があれば良いと思っています。

 

長岡:職種の壁を越え、さらに広げて活用していただけると嬉しいです!

 

丹田様:そうですね。ただ、パソコンに慣れていないメンバーや機械音痴な方もいるので、一歩ずつ進めていければと考えています。

 

ーHuddlerの導入による業務の変化は大きかったと思いますが、いかがでしょうか?

 

丹田様:これまでは個人の手元のノートと公式の電子カルテの間に何もない状態でしたが、Huddlerはその間に位置するツールとして考えています。私たちの手元のノートを0、公式の電子カルテを1としたときに、0.5のプラットフォームが生まれたと感じています。

 

ネット上で調べられる情報は質が低い場合があり、そのまま公式な場に掲載すると誤りが生じることがあります。そこで、0.5の場で情報を共有し、ディスカッションを行うことで、より質の高い情報を公式な場に持ち込めると感じています。「0.5のプラットフォーム」で情報をブラッシュアップし、公式な場で活用できることはかなり大きな変化です。

 

長岡:0.5のプラットフォーム、なるほどですね。

 

interview_岩手県高度救急救命センター_platform

(「0.5のプラットフォーム」のイメージ)

 

肩書きに左右されないフラットなコミュニケーションを促進し、質の高い医療を実現したい。

ー現在使われている実際の画面を共有していただくことは可能ですか?

 

丹田様:守秘義務に反しない情報のみ掲載していて、個人を特定するような情報は全くないので大丈夫ですよ。

 

長岡:ありがとうございます!Huddlerは目的や用途ごとにルームを作ることができますが、それぞれどのように使い分けをされていますか?

 

丹田様:「EHCUボード」というルームは、重症患者を扱う集中治療室の情報共有を目的としています。どちらかというと他の職種向けに作られており、入院期間や行われている治療内容などを中心に書いています。

 

「今日の一言」というルームは、メンバー限定のTwitterのような感覚で、日々の出来事や気づきなどを共有しています。また、お気に入りの情報や面白い情報をwikiに保存し、メンバー内のコミュニケーションツールとしても活用しています。

 

Huddler_会議

(実際にお見せいただいたHuddler 会議画面)

 

実務としては会議機能をメインで使っていて、アジェンダには私が作ったノートの内容をベースにまとめています。アジェンダはテンプレート化し、中身を変更していて、自分のノートを基に必要に応じて内容を追加しています。

 

また、引き継ぎの際、以前はLINEなどのSNSや、紙面で申し送りを行っていましたが、我々のチームではHuddlerを使用することで、深いレベルの情報を書き込むことができ、情報共有やディスカッションの場としても使っています。申し送りや引き継ぎの情報ははここから拾えるので、考え方や根拠について深く書くことに大きな意味があると考えています。これによって医療の質の向上に繋がると考えています。

 

長岡:教育や情報の蓄積といった面で、Huddlerが役に立っているということですね。これまでその部分はブラックボックス化されていたのでしょうか。

 

丹田様:そうですね。

 

経験豊富な上級の先生方の一声で治療方針が変わってしまうという文化を変えるために、可能であれば、先生方の肩書きや経験に左右されない質の高い情報を基に、質の高い医療・治療を行いたいと考えています。「偉い人が言ったからこう書きました」ということではなく、本当に質の高い情報にすることを大切にしています。

 

なのでHuddler内では肩書きではなく、フラットな状態で情報を書き込むことを心がけていて、ここでは本名の代わりにあだ名で表記するようにしています。また、wikiには自己紹介などを記載していて、初めにこれを見てから運用に入るようにしています。

 

Huddler_wiki

(実際にお見せいただいたHuddler wiki画面)

 

長岡:なるほど、そういう工夫がされているんですね。wikiの主な内容は何ですか?

 

丹田様:「救急センターノウハウ」というカテゴリでは、施設の紹介や治療の決め方など、詳細な入院基準などを記載しています。診療ガイドラインの使い方や働き方の注意など、基本的な情報から始まり、救急外来や集中治療室の対応方法などを教科書のように書き込んでいます。

 

長岡:まさに社内のWikipediaのようですね。

 

丹田様:そのような使い方をしています。まだ載せたい情報がたくさんあり、現在も作成が追いついていない状況です。また、1年が経つと新たな情報も出てくるため、更新も必要です。まだ完成形ではありませんが、これから情報をさらに蓄積していくつもりです。

 

長岡:そうなると、新しいメンバーが入ってきた際にはwikiで自由に調べるといったフローができるんですね。

 

丹田様:そう使えればと思っています。今は私が書きたいことが多すぎて現状は私ばかりが書いていますが、特定の項目については他のメンバーにお願いしています。診療ガイドラインなどはインターネット上でダウンロードできるものもPDFとして載せたり、学会に入会していないと得られない情報なども保存して共有しています。研修医や若手医師が困った時に必要な知識をここで吸収できればと思っています。

 

長岡:なるほど、教育の現場でとても役に立つ教科書になりそうですね。自由に追加できるタブ管理機能も使っていただけていますね。

 

丹田様:薬の検索など、よく使われるリンクを入れています。さらに、病気に関する医学書などは全て載せることは難しいので、ここには土壌となる情報を貼り付け、必要な時にすぐに調べられるようにしています。

 

Huddler_タブ追加

(実際にお見せいただいたHuddler タブ追加画面)

 

若手教育の面だけでなく、ベテラン医師の勉強の場としてもツールが必要。

ーHuddlerを他のメンバーにアナウンスする際はどのような流れで行いましたか?

 

丹田様:今年4月に、新しく若手の先生が加わることがきっかけだったのですが、若手教育の一環として、情報共有しながら教育を行うことが必要だと感じていて、「Huddlerで情報共有する」取り組みも併せてスタートしました。実際には、若手医師が参加する前の2〜3月にかけて、勉強に役立つノウハウをHuddlerへ少しずつ蓄積し、4月から参加した若手医師へノウハウを共有する形で段階的に進めました。

 

長岡:Huddlerの導入について、みなさまからの反応はありましたか?

 

丹田様:私の周りではITツールを活用した教育や情報共有についてあまり聞いたことがなく、初めてのことで最初は戸惑うメンバーもいました。実際に私がHuddlerを使って「こんなイメージで使ってみようか」と見せた結果、「便利ですね」と言ってくれたり、比較的好意的な反応でした。

 

根拠となる情報をリンクで共有できるため、他のサイトに行って情報をコピーしたりする手間が省け、一つの画面で完結できるので、みんなが効率化の恩恵を感じていると思います。

 

長岡:よかったです!今のチームの年齢層はどのような範囲ですか?

 

丹田様:研修医の方々を含めると20代が多いですが、30代〜50代です。50代のベテラン医師も閲覧はもちろんできていますし、まだwikiの入力とまでは進んでいませんが、情報共有の目的は達成されていると思います。

 

ー皆様で日常的にHuddlerを使うまでにどれくらいの時間がかかりましたか?

 

丹田様:私も含めて、日常的にHuddlerを活用するまでに時間は全然かかりませんでした。最初に「このツールを使って、情報共有や症例を通じた勉強のための生きた教科書を作りたい」というコンセプトを伝え、私自身がwikiを作成し、ファイルをアップロードするなど、少しだけ型を作っていました。それを見せることで、みんな進んで参加してくれるようになりました。

 

長岡:最初に少し手本を示すというのがポイントだったんですね。

 

丹田様:目的やコンセプトを伝え、実際にやってみるとどうかというイメージを少しだけ見せただけで、みんなが自主的に取り組んでくれました

 

ー特に便利だと感じる機能はありますか?

 

丹田様:会議は先ほどお伝えした通り、ある程度想定内の機能でしたが、wikiが充実すればするほど使い勝手が良くなり、医療の治療の質が上がるように感じます。私自身も作成することで、昔の知識をアップデートできますし、自己研鑽の場としても利用できます。今後、wikiが充実すればますます重要なツールになると思いますね。

 

ーHuddler導入を検討している人に対して、おすすめのポイントを教えていただけますか?

 

丹田様:会議を利用したディスカッションだけでなく、若手医師の教育やベテランの医師の勉強の場としても利用でき、あらゆる情報共有の効率化に役立つツールだと思います。このような使い方を知らない人も多いと思うのですが、使ってみて勉強になることもたくさんあるので、情報共有にはとてもおすすめです。

 

ー今後Huddlerに期待する機能はありますか?

 

丹田様:会議に蓄積している症例は、今後さらに増える予定のため、カテゴリー分けして見やすくできるようになると嬉しいです。また、編集した後に誰が追加・編集したのかがわかるような編集履歴機能もあると、指導がしやすくなると思います。

 

長岡:なるほど。情報の探しやすさも重要になりますよね。

 

丹田様:あとはスマートフォンやタブレットでも操作できるような機能があれば、病棟でも確認できるため、移動中やベッドサイドなどでの利用にも便利です。診断や治療に必要なスコアなども掲載しているので、救急外来などでパッと見られたらいいですね。

 

長岡: 貴重なご意見ありがとうございます。スマホ対応は開発のロードマップに組み込まれているのでお待ちいただけると幸いです!

 

丹田様:ありがとうございます。今後のHuddlerの発展を期待しています。

 

ー丹田様、インタビューにご協力いただき、ありがとうございました!